2021年4月21日(水)～25日(日)に東京・大阪・名古屋で上演予定の『松井誠特別公演2021』は、このたびの新型コロナウイルス感染拡大及び、2月2日に政府から発表されました緊急事態宣言の延長により ①　緊急事態宣言が延長された東京・大阪・名古屋での上演であること ②　公共交通機関での大人数の移動が出演者やスタッフの感染リスクを伴うこと ③　御観劇くださるお客様の中には、ご高齢の方が多数おいでになり、 　　万が一感染した場合に重症化のリスクが高いこと これらを基に総合的に熟考した上で、本作品の上演が困難であると判断しました。 感染対策を十分に行ったとしても、ご来場予定の皆様や出演者・スタッフの安全を確保することが非常に困難であり、本公演は上演中止の決定をせざるを得ない状況となりました。 ご来場を楽しみにお待ちになっていた皆様のことを考えますと非常に心苦しく、出演者やスタッフも残念な気持ちでいっぱいでございます。 中止ではなく延期という選択肢もありましたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況での延期は、ご来場予定の皆様や出演者・スタッフ・関係者各位にも多大なるご迷惑をお掛けすることになると判断し、上演中止という選択に至りました。 皆様にお会いできることを楽しみにしておりましたが、何卒ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。 収束の目途が立ちましたら、必ずや良い舞台を皆様にお届けすることを約束いたしますので、今しばらくお時間を頂戴できれば大変嬉しく思います。 誠会公演事務局へお申し込みの皆様には、個別にご連絡申し上げますので今しばらくお待ちいただきますようご案内申し上げます。

　お勝と弟の半次郎は幼い頃に両親を亡くし、お勝が親代わりとなり半次郎の面倒をみていた。親孝行なお勝は、せめて両親に立派なお墓を建てようと芸者稼業に身を売ることにした。一方、半次郎はやくざ者になっていたが、姉想いでとても仲の良い姉弟であった。
　そんな折、藤乃屋の若旦那・清吉はお座敷でお勝と出会い一目惚れする。清吉は座敷へ通い詰め、お互いに惹かれ合う様になり、藤乃屋の嫁に迎えたいと申し出た。芸者の年季が明け、晴れて自由の身となり夫婦となったお勝は、幼い頃からの夢であった丸髷を結い上げ、藤乃屋の若女将となるのだった。
　しかし、清吉には幼い頃に兄妹の様に仲良くしていたお光という娘が居り、遊んでいた時にふとした拍子で大火傷を負わせてしまい、清吉の父であり藤乃屋の主人・清兵衛は、将来必ず嫁に迎えるからと話を収めていたのであった。清吉が江戸で三年間の修行を終えれば夫婦になれると、それを生き甲斐にしていたお光。だが、清吉が戻ってきて喜んだのも束の間、お勝を嫁として連れてきた事を知り、絶望したお光は身投げをしようとするが、そこを偶然通りかかったお勝に助けられる。死ぬには何か理由があるのだろうと、お光の生い立ち話を聞いていると、許嫁が江戸から芸者を嫁に連れて来て縁談が破談になったという。そこで見せられたお光の火傷の痕。江戸・・・芸者・・・我が身の事ではないかと察するお勝。気になりお店の名を聞くと、藤乃屋と一言。真実を聞かされたお勝はひどく動揺する。
　やっと掴んだ幸せなのに・・・だが、死のうとまで思いつめたお光の事を考えればと葛藤が続くのだった。
　所変わり、数日後の藤乃屋は大騒ぎである。まるで人が変わったようにお酒を飲んで荒れ狂い、悪口雑言を繰り返すお勝の醜態。そこへ半次郎が訪ねてきた事で、お勝はあることを思いつく・・・。